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生涯学習支援事業
● FPエッセー傑作選(その8)
地域通貨と子供パワー
木下利信(正会員・FP暮らしのコツ代表)
皆さん地域通貨をご存知ですか。先日とても楽しい地域通貨イベントに参加してきました。

5月27日の土曜日、雨が降ったり止んだりの生憎の天候でしたが、さいたま市役所構内の一角は朝早くから熱気を帯びていました。午前10時から始まる「浦和うなぎまつり」の「子供ハローワーク」看板前に、十数人の小学生が30分以上も前から列を作っていたのです。

「NPO法人くらしとお金の学校」が埼玉市教育委員会と共催で実施する地域通貨「ニョロ」の活動がスタートしたのです。子供ハローワークは応募してきた子供達に仕事を割り振ります。仕事は「会場案内」「チラシ配り」「アンケート回収」「看板もち」「呼び込み」「場内清掃」「店員」等多岐に渡ります。数人ずつにグループ分けされた子供達を大学生、シニアカレッジのボランティア、そしてNPOメンバーが手分けして作業現場まで誘導し仕事の手順を教えます。約1時間の仕事を終えて、子供達は再び「子供ハローワーク」受付に戻り、仕事の完了を報告し地域通貨「ニョロ」を受け取ります。つまり仕事の報酬を手にする訳です。
だがしや楽校
子供ハローワークのすぐ横に、「だがしや楽校」の看板を掲げたお店が既にオープンしています。私はここの店員役を引き受けました。ニョロを手にした子供達が一斉に駆け込んできます。小学1年生から高学年まで、数十人の子供達で売り場はすぐに満杯です。誰一人として直ぐにレジに向かう子はいません。手にしたニョロで何と何を買うか必死に考えているのです。小さい子はお兄ちゃんお姉ちゃんと相談しながら、また同級生同士は買った品物を見せ合いながら、自分で働いた報酬である160ニョロ(1ニョロがほぼ1円相当)の最高の使い方を体験しているのです。

低学年の子供の母親がそばで眼を細めて見ています。子供に買い物のアドバイスを行おうとする親に対して、小さな子供が言います、「これは僕(私)のお金だから、自分の好きなものを買うの!」と。
お菓子選びも真剣
市教育委員会から、NPOのイベント責任者に対し、来年も是非このイベントをNPO主催で開催して欲しいと言われたそうです。このイベント成功の秘訣は簡単です。関係者全員にメリットがあるからです。主役の子供達は「働いて報酬を得る体験」を楽しみながら得られます。そんな子供をみるご両親も喜びます。ボランティアとして参加した学生、スタッフも、子供達からパワーをもらえます。そしてお祭り実行委員会の立場からは、親が子供をつれてくるのではなく、子供が親を連れてくる行事になるからです。会場内で一所懸命働いている子供達の横でゴミをポイ捨てする大人はいなくなり、会場が明るくなります。

七時間近くの立ち仕事で約400名の子供達を相手にし、疲れ切っているはずですが、気分は爽快です。これは、昼食の「名物うなぎ弁当」と「子供達のパワー」のせいです。イベント終了後の打ち上げのビールが上手かったのは言うまでもありません。日本銀行券では買えないニョロの価値を実感した一日となりました。
(2006.6.5)





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