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● FPエッセー傑作選(その6)
グレーゾーン金利と金銭教育――アイフル事件に思う
向井佳三(正会員・金銭教育プロジェクト)
向井佳三さんアイフルが違法取立てで業務停止処分を受けました。

このアイフルの事件への財務局のコメントを読みましたが、業者の明らかな違法行為への指摘と同時に、債務者側の言いがかりに近いと思わせるものもありました。

もちろん、違法行為があったからこそ債権者は罰せられたはずで、債務者側の言い分だけでは財務局といえども業務停止にはできなかったでしょう。

ただ、これだけ多重債務者が急増している時代ですから、債権者側の悪を叩くだけでは問題が解決しないことにも目をむけたいと思います。


◆ なぜ「グレーゾーン金利」があるのか?

消費者金融=悪という図式の背景にあるグレーゾーン金利の問題は、相当根が深いものがあります。
グレーゾーン金利とは、出資法と利息制限法という二つの異なる法律で定められた二つの金利の上限の間にある金利のことを言います。

出資法の上限金利は29.2%、利息制限法は20%(元金10万円未満)です。
利息制限法の上限金利は、元金が10万円以上100万円未満なら18%、100万円以上なら15%です。
しかし、利息制限法には罰則がありません。
一方、出資法には重い刑事罰が科されます。
そこで金融業者は2つの法律に基づく上限金利の間の金利で貸付けをします。
これがグレーゾーン金利です。

グレーゾーン金利がすべて間違っているのかというとそうではありません。
グレーゾーン金利が認められるための条件が貸金業規制法43条に定められています。
これをみなし弁済規定といいます。

みなし弁済規定の主なものは以下のとおりです。
1 契約の際に貸金業規制法17条を満たす契約書面を交付していること
   最近は無人契約機やカードでの融資もあるため書面交付がされていないことも多いです。

2 弁済(返済)の際に貸金業規制法18条を満たす受取証書を直ちに交付していること
   ATMでの支払いでは交付は不可能です。(振込みの控えでは当然認められません)

3 債務者が約定金利による利息を利息として認識して支払ったこと
   これは解釈が難しいところですが、私の実務経験上、2の書面に債務者の受取サインが必要と解釈しています。

4 債務者が約定金利による利息を任意に支払ったこと
   強制執行や厳しい取立てによる支払い、保証人による支払いはみなし弁済にはなりません。

はっきり言ってこれを守っている金融業者はないでしょう。
業者側の立場で言うと規定を守りたくても実務的に不可能というのが本音だと思います。

この中でもっとも難しいのが3で、返済のたびにこれを満たさなければならず、1回でも怠るとみなし弁済は認められません。
また、みなし弁済は業者側が立証しなければならないため、証拠を残すのも業者側です。
実務的に事実上不可能だと言えると思います。

ではなぜ2つの矛盾した上限金利が存在するのでしょうか。
それは、利息制限法で、債務者が延滞したときは1.46倍の遅延損害金を請求できると規定されているからです。
20%で貸している場合、遅延損害金は20%×1.46倍=29.2%になります。
出資法の上限金利が20%だと、遅延損害金を請求したら出資法違反になります。
この矛盾を起こさないために出資法の上限金利は現状29.2%にせざるを得ないのです。

一部の人たちは、利息制限法に基づいた解釈で、それを上回る金利で貸す業者を「悪徳業者」と呼んでいます。


◆ 反省がないと悪循環に

しかし、この問題で一番厄介なところは、お金のコントロールを誤って、多重債務者になってしまった人を、「あなたは悪徳業者にだまされた被害者だ」と多くのひとが見なしていることです。

私は、以前、債権回収の側で仕事をしていたので、ある日突然、「悪徳業者のお前らの言いなりになるか」という気持がはっきり見えるくらい態度の豹変する人をたくさん見てきました。
犯罪者みたいな言われ方をしたことも数知れずです。

しかしよく考えて見れば、理由はどうであれ、返せないほどのお金を借りたのは誰でしょうか?
債務者本人のはずです。
しかしある日突然、彼らは「被害者」になるのです。
自分がお金のコントロールを誤ったにも関わらず、「被害者」になってしまったら、そこからは何の反省も生まれません。

何の反省もしていない人はまた同じことを繰り返します。

「私、破産してるけど借りられますか?」

こんな問い合わせが結構ありました。
一度借金を踏み倒した人はまた同じことをします。
まともなところでは借りられないのでヤミ金に行きます。
破産者がヤミ金に手を出して返せなくなったら、あとは逃げるしかありません。


◆ 20歳代の若者たちに多重債務者が多い!

私は金融に関わるものとして、一人のFPとして、また金銭教育者として、ここに反省することを促すような制度を作りたいと思っています。
たとえば、自己破産者に対する研修制度などです。

多重債務者になってしまった人は、業者を責める前にまず自分がしたことを反省してください。
相談を受ける弁護士、司法書士、裁判官、調停委員の方々も、まずは債務者に反省を促してください。

私事ですが、この4月から私は、派遣社員としてクレジット会社で債務整理の仕事をしています。
具体的には、多重債務者の今後の支払いの内容を弁護士や司法書士と交渉する仕事です。
この仕事でいちばん驚いたのは、昭和50年代生まれの人の案件が非常に多いことです。
今の時点で昭和50年代生まれといえば、ほぼ20歳代の若者たちです。

私たちがとりくんでいる金銭教育は、とくに中高生のための金銭教育を急がなければいけないと痛感しています。


注:「みなし弁済」については下記のサイト(いなげ司法書士事務所)をごらんいただくと分かりやすくまとまっていると思います。「自己破産」についても詳しいページがあります。
http://www.yebh3.net/image/gray/

(2006.4.24)





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