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● 大阪の高齢者住宅訪問レポート
食事・介護・医療・自由、必要なものが全部そろっている高齢者住宅!
代表理事・長沼和子
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9月28日(金)〜29日(土)、残暑の日ざしの中、おふたりの建築家(山本充彦氏、西尾昌浩氏、ともにシニア居住文化研究所理事)といっしょに、4軒の高齢者住宅を探訪してきました。
大阪の高優賃の建設戸数が全国でダントツに多いのはなぜか、西日本では高齢者住宅の「複合化」が進んでいる、その実態を確かめてみたい、というのがそもそもの目的でした。
初めの予想とちがったこと、こんなやりかたもできるんだ(!)と感服したことなどありますので、ご報告します。
◆ 1 高優賃 「サンライフ尾崎」 40戸
設立 H15.12
運営 株式会社サン・ステップ
住所 大阪府阪南市尾崎150-1
電話 06-6243-3191
最寄り駅 南海本線 「尾崎駅」より徒歩5分
社会福祉法人が高優賃も併設して創った高齢者「複合」施設だと思いこんで、どんなスキームで造られたのか知りたくて訪問しました。
オーナーは地元の造り酒屋。テナントとしてデイサービス事業所と食堂が入っています。各階は内廊下式で、共有スペースがゆったりとられています。1階の会議室も広い。けれど、月1回居住者の会合に使われる程度だそうです。管理人さんは派遣会社から。
◆ 2 高専賃 「トルチェ アミークラブ上野芝」 6戸
設立 H19.9
運営 株式会社ワールド・アミー
住所 堺市西区上野芝向丘町2-20-11
電話 06−6193−3003
最寄り駅 JR阪和線/上野芝駅/徒歩7分
「たった6戸の高専賃は見たことがない!(最小でも13戸)、採算はとれるのかしら?」と疑問で、訪ねてみると、この会社の社長さんの使わなくなった邸宅の有効活用、リフォームしたものだったのですね。オープン直後でまだ入居者はありませんでした。フロアや風呂場などのバリアフリー化に要チェック。
◆ 3 介護付有料老人ホーム 「介護付住宅みのり堺」 57戸
設立 H19.2
事業主 泉南生活協同組合
住所 堺市中区新家町485-1
電話 072-237-3690
最寄り駅 南海高野線「白鷺」駅下車、バス「下茶屋」 徒歩約3分
阪南市にある「サンライフ尾崎」は外せない訪問先だったので、その周辺で高齢者住宅をネット検索。介護も医療も、食事のサービスまであって月額経費が安い。しかも、入居に際しての一時金もそこそこ。迷わず、訪問先として「介護付住宅みのり堺」に訪問予約を入れました。広報担当者から折り返し連絡をいただくと、なんと担当は生協の理事長さん。日経のコラムで「高齢者の住まい・介護制度」を担当しているとお伝えすると、理事長ご自身も毎日新聞・和歌山版でコラムを連載しているとのこと、資料も含め読んでほしいと早速大部な資料が送られてきました。
送られた資料を手にして翌日28日の午後、11階建ての「介護付住宅みのり堺」に到着。理事長の笠原優(まさる)さんにお目にかかりました。
――医療サービス(同グループに医師11人、訪問診療可)も含め、「居室の広さ」「入居者の自立」「生活の自由」など、この介護付住宅には欲しいサービスが全部あるのはどうして?
もともとは、牛乳の共同購入が出発点の生活協同組合。牛乳から牛肉、卵、有機野菜、と取り扱い商品が増え、他の地域の生協や医療生協の立ち上げも応援するようになった。こうして、生活を支えるネットワークを構築。そして生活の基礎である住宅まで取り扱う範囲は拡がった……
「長い老後、これからは分譲」と抱負を語る理事長さんに、「これからは高専賃」と考えていた私には、新たな課題が与えられました。
もうひとつ、この「介護付住宅みのり堺」は、生活ネットワークを構築しているというとおり、地域社会のひとつのリサイクルモデルになっている点が注目されました。例えば、介護士の不足が言われるなか、このネットワークでは、介護士を養成する専門学校まで運営していて、地域から労働力を供給する、雇用創出のしくみをつくりあげています。この若者たちが歳をとれば、今度はここの高齢者住宅にはいれる、という、世代間のリサイクル・モデルができあがっているんですね。
長年の生協活動がこうした地域社会作りに貢献したといえるのでしょうが、今からでも、他の地域でこれを参考にできないか、という思いがしきりにしました。
◆ 4 高専賃 「サンリスタ守口」 52戸
設立 H15.6
事業主 パナホーム(株)
住所 守口市橋波東之町3-2-33
電話 0120-41-9647
最寄り駅 京阪線 「西三荘駅」より徒歩5分。
最後の訪問は9月29日。4年前の2003年、かなり早い時期に立ち上げた高齢者向け賃貸住宅(高専賃)だったので、その後の経過を知りたいと思っていました。
――松下城下町の高専賃「サンリスタ守口」のその後は?
「サンリスタ守口」は高専賃の先駆けですが、創設4年目に介護サービスや協力医院サービスを併設してようやく満室に。なかなか苦戦のようです。
当初は高齢者を対象とした事業を展開しようとしていたパナホーム(株)ですが、本社からの営業社員も撤退され、現在は、常駐は「添乗員」(くらしの添乗員)と呼ばれる職員2人。
以下は、訪問後の私たちのひとまずの結論です。
1 高専賃が介護付有料老人ホームと同質のサービスを提供しようとすることには無理がある。
高専賃はあくまで「賃貸契約」の住宅なのだが、”家族に入居させられた”という意識をもっている入居者の場合、高専賃でのくらし方が飲み込めず、有老と同じサービスを求めがち。世話をするほうも求められればことわりにくい。
2 入居者には、自分のくらし方を考えた結果、みずからここを「選んだ」という自覚が必要だろう。供給側には、高専賃としてのヴィジョンが必要で、あれもこれもありますよと宣伝するのでなく、入居時に、サービス部分と自己責任部分とのけじめを入居者に自覚してもらうことが必要ではないか。
3 この点をクリアできれば、もっと質の高い高専賃ができそうだ……
そして私が最初にかかえて臨んだ疑問については、下記のとおりです。
1 高優賃の建設戸数のあまりのばらつきの理由には、やはり自治体の努力の差があるのではないか、というのがひとつ。どの自治体も財源難は抱えているのだから、それが口実になっては困ります。
2 もうひとつは、住民自身の努力と工夫がなされている地域があるということです。いろいろ不十分な点や試行錯誤はあっても、早めに取り組んだ地域にはそのぶんだけ経験が蓄積されていきます。「介護付住宅みのり堺」では、自治体当局と民間との「いい関係」ができているというお話しでした。
(2007.10.7)